鉄筋コンクリート造と鉄骨造の違いを徹底解説！特徴・メリット・デメリット、耐用年数まで

家づくりやマンション選びにおいて、「鉄筋コンクリート造」と「鉄骨造」という言葉をよく耳にするのではないでしょうか？ どちらも頑丈な建物のイメージがありますが、それぞれに特徴やメリット・デメリットがあります。

今回は、鉄筋コンクリート造と鉄骨造の違いを徹底的に解説していきます。構造や特徴、メリット・デメリット、さらには耐用年数まで詳しく見ていきましょう。

鉄筋コンクリート造と鉄骨造の基本

まずは、それぞれの構造と特徴について解説して行きます。

鉄筋コンクリート造（RC造）とは？仕組みと特徴

鉄筋コンクリート造（RC造）とは、鉄筋を組み上げて骨組みを作り、そこにコンクリートを流し込んで固めた構造です。鉄筋の引っ張る力とコンクリートの圧縮する力を組み合わせることで、高い強度と耐久性を実現しています。

RC造は、鉄筋とコンクリートという異なる素材を組み合わせることで、それぞれの弱点を補い、強みを活かした構造となっています。鉄筋は引っ張る力に強く、コンクリートは圧縮する力に強いという特性があります。コンクリートで鉄筋を覆うことで、鉄筋の腐食を防ぎ、火災時の強度低下も抑制します。

特徴

• 高い耐震性・耐火性・耐久性：地震や火災に強く、長持ちする建物です。地震の揺れをコンクリート全体で受け止め、分散させることで、建物の倒壊を防ぎます。また、コンクリートは火に強く、火災時にも高い強度を維持できます。さらに、鉄筋をコンクリートで覆うことで、錆びを防ぎ、建物の寿命を延ばします。
• 遮音性が高い：コンクリートの密度が高いため、外部の音を遮断しやすく、静かな住環境を実現できます。特に、交通量の多い道路沿いなどに住む場合は、RC造を選ぶことで、騒音を気にせず快適に過ごすことができます。
• 気密性が高い：外気の影響を受けにくいため、冷暖房効率が良く、省エネにも繋がります。夏は涼しく、冬は暖かい室内環境を保つことができ、光熱費の節約にもなります。
• 設計の自由度が高い：様々な形状の建物を作ることが可能です。曲線や複雑な形状も実現できるため、建築家の意匠を反映しやすい構造です。

鉄骨造（S造）とは？仕組みと特徴

鉄骨造（S造）とは、鋼材を組み立てて柱や梁などの骨組みを作り、そこに外壁や屋根などの部材を取り付けていく構造です。工場で部材を製作するため、工期が短く、施工精度が高いのが特徴です。

鉄骨造は、軽量で強度が高い鋼材を使用することで、大空間を創り出すことができます。また、部材を工場で精密に加工するため、現場での組み立て作業がスムーズに進み、工期の短縮に繋がります。

特徴

• 工期が短い：工場で部材を製作するため、現場での作業が少なく、工期を短縮できます。これは、特に工期が限られているプロジェクトや、早期の完成が求められる場合に大きなメリットとなります。
• 軽量で自由度が高い：鉄筋コンクリート造に比べて軽量なため、広い空間を確保しやすいです。柱や梁を細くすることができるため、開放的な空間設計が可能です。
• リフォームしやすい：間取りの変更や増築などが比較的容易に行えます。将来的なライフスタイルの変化に対応しやすい構造です。

軽量鉄骨造と重量鉄骨造の違い

鉄骨造は、使用する鋼材の厚さによって「軽量鉄骨造」と「重量鉄骨造」に分けられます。

区分	軽量鉄骨造	重量鉄骨造
鋼材の厚さ	6mm以下	6mmを超える
用途	小規模な建物（住宅、店舗など）	中高層ビル、大型施設など
特徴	工期が短く、コストが低い	強度が高く、耐震性に優れる

鉄筋コンクリート造と鉄骨造のメリット・デメリット

それぞれにメリット・デメリットがあるため、理解した上で選びましょう。

鉄筋コンクリート造のメリット・デメリット

メリット

• 高い耐震性・耐火性・耐久性：地震や火災に強く、建物の寿命が長いため、長期的な視点で見た場合にコストパフォーマンスに優れています。
• 優れた遮音性：周囲の音を気にせず、静かな住環境で生活することができます。
• 高い気密性：冷暖房効率が高く、省エネ効果も期待できます。
• 設計の自由度が高い：建築家の個性や居住者の希望を反映した、自由な設計が可能です。

デメリット

• 工期が長い：コンクリートの乾燥などに時間がかかるため、鉄骨造に比べて工期が長くなります。
• コストが高い：材料費や人件費がかかるため、鉄骨造よりも建築コストが高くなる傾向があります。
• 重量があるため、地盤改良が必要な場合がある：建物の重量が大きいため、地盤が弱い場合は地盤改良工事が必要となり、追加費用が発生することがあります。

鉄骨造のメリット・デメリット

メリット

• 工期が短い：工場で部材を製作するため、現場での作業が少なく、工期を短縮できます。
• 軽量で自由度が高い：鉄筋コンクリート造に比べて軽量なため、広い空間を確保しやすく、設計の自由度も高いです。
• リフォームしやすい：間取りの変更や増築などが比較的容易に行えます。
• コストが比較的安い：鉄筋コンクリート造に比べて、建築コストが比較的安価です。

デメリット

• 耐火性・遮音性が低い：鉄骨は熱に弱く、火災時に強度が低下する可能性があります。また、遮音性も鉄筋コンクリート造に比べて劣るため、騒音が気になる場合があります。
• 錆びやすい：鉄骨は錆びやすいため、定期的なメンテナンスが必要です。

鉄骨鉄筋コンクリート造（SRC造）とは？

鉄筋コンクリート造と鉄骨造について理解したところで、次は「鉄骨鉄筋コンクリート造（SRC造）」について解説します。

SRC造は、RC造とS造のメリットを組み合わせた構造です。鉄骨造の骨組みに鉄筋を配し、コンクリートを流し込んで固めることで、両方の長所を活かしたハイブリッドな構造となっています。

鉄骨鉄筋コンクリート造の特徴

SRC造は、RC造よりもさらに強度と耐震性を高めた構造です。高層ビルや大規模な施設、橋梁など、高い強度と耐久性が求められる建築物に多く採用されています。

SRC造の特徴

• 高い耐震性と耐久性: RC造とS造の長所を兼ね備え、地震や強風などの外力に非常に強い構造です。
• 優れた耐火性: コンクリートで鉄骨を覆うことで、火災時の強度低下を防ぎます。
• 設計の自由度が高い: RC造と同様に、様々な形状の建物を作ることが可能です。

耐用年数でわかること

建物の寿命を考える上で、「耐用年数」は重要な指標となります。

耐用年数の意味と構造ごとの違い

耐用年数とは、建物が使用できる期間の目安となる年数のことです。税法上の減価償却資産の耐用年数は、建物の構造によって異なります。

構造	法定耐用年数
木造	22年
鉄骨造（軽量鉄骨造）	27年
鉄骨造（重量鉄骨造）	34年
鉄筋コンクリート造	47年
鉄骨鉄筋コンクリート造	50年

ただし、耐用年数はあくまでも目安であり、建物のメンテナンス状況によって大きく左右されます。適切なメンテナンスを行うことで、耐用年数を超えて長く建物を使い続けることも可能です。

鉄筋コンクリート造と鉄骨造：どちらを選ぶ？

鉄筋コンクリート造と鉄骨造、どちらの構造を選ぶべきか迷う方もいるかもしれません。それぞれのメリット・デメリットを踏まえ、自身のニーズに合った構造を選びましょう。

安全性や快適性で選ぶなら鉄筋コンクリート

地震や火災に強く、遮音性や気密性にも優れたRC造は、安全性と快適性を重視する方におすすめです。マンションや戸建て住宅など、長く住むことを想定した建物に適しています。

家賃で選ぶなら鉄骨

鉄骨造はRC造に比べて建築コストが低いため、家賃も比較的安価な傾向があります。初期費用を抑えたい方や、賃貸住宅を選ぶ場合は鉄骨造も選択肢の一つとなります。

まとめ

今回は、鉄筋コンクリート造と鉄骨造の違いについて解説しました。それぞれの構造の特徴やメリット・デメリットを理解し、家づくりやマンション選びの参考にしていただければ幸いです。