家を買う時の諸経費はいくらかかるのか？新築と中古、マンションと一戸建てごとに解説

住宅購入は、人生における大きなライフイベントの一つであり、多くの人にとって最大の買い物と言えるでしょう。物件価格に注目が集まりがちですが、忘れてはならないのが「諸費用（諸経費）」です。諸費用は物件価格以外にかかる費用の総称で、新築・中古、マンション・一戸建てといった物件の種類によって大きく異なります。この記事では、住宅購入にかかる諸費用について徹底的に解説し、読者の皆様がスムーズな資金計画を立てられるようサポートします。

家を買う時の諸経費はいくらかかるのか？

住宅購入に必要な諸費用（諸経費）とは、物件の本体価格以外に発生する費用の総称です。物件の取得、登記、住宅ローン契約など、さまざまな手続きに伴って発生し、その種類は多岐に渡ります。これらの費用は原則として現金で用意する必要があるため、事前にしっかりと把握し、資金計画に組み込んでおくことが非常に重要です。諸費用を考慮せずに資金計画を立ててしまうと、後々資金不足に陥り、住宅購入自体が頓挫してしまう可能性もあります。

諸経費とは内を指すのか

諸費用は大きく分けて「物件にかかる諸費用」と「住宅ローンにかかる諸費用」の2種類に分類できます。物件にかかる諸費用は、不動産取得に関連する税金や仲介手数料、登記費用などが含まれます。一方、住宅ローンにかかる諸費用は、ローン契約時に発生する融資手数料や保証料、保険料などが含まれます。それぞれの内訳を詳しく見ていきましょう。

住宅購入にかかる諸経費

物件にかかる諸費用は以下の通りです。

印紙税

印紙税は、不動産売買契約書や建築請負契約書などの契約書に課税される国税です。契約金額に応じて税額が異なり、契約書に収入印紙を貼付することで納付します。例えば、1,000万円超5,000万円以下の契約の場合、通常は2万円の印紙税がかかりますが、軽減措置が適用される場合は1万円となります。契約金額によって税額が細かく定められているため、事前に確認が必要です。

不動産取得税

不動産取得税は、不動産を取得した際に都道府県に納める地方税です。取得後しばらくしてから納税通知書が送付されます。税額は固定資産税評価額に基づいて算出され、税率は原則4%ですが、住宅用の土地と家屋については軽減措置が適用され、税率が3%に軽減されます。また、一定の要件を満たす住宅については、税額の控除措置もあります。

登録免許税

登録免許税は、不動産の所有権移転登記、抵当権設定登記など、登記手続きを行う際に国に納める税金です。税額は登記の種類や不動産の評価額によって異なります。例えば、所有権移転登記の場合、固定資産税評価額の2%が税率となりますが、こちらも軽減措置が適用される場合があります。司法書士に手続きを依頼する場合は、別途司法書士への報酬が発生します。

司法書士への報酬

司法書士は、不動産登記の手続きを代行する専門家です。複雑な登記手続きをスムーズに行うためには、司法書士への依頼が一般的です。報酬額は依頼する司法書士事務所や手続きの内容によって異なりますが、所有権移転登記と抵当権設定登記を同時に依頼する場合、数万円から十数万円程度が相場です。

固定資産税清算金（および都市計画税清算金）

固定資産税と都市計画税は、毎年1月1日時点の所有者に対して課税される地方税です。不動産の売買が行われた場合、売買日を基準に、売主と買主で日割り計算し、精算を行います。例えば、年の途中で売買が行われた場合、売主はその年の1月1日から売買日までの期間の税金を負担し、買主は売買日の翌日から年末までの期間の税金を負担します。

修繕積立基金

マンション購入の場合、将来の大規模修繕に備えて修繕積立基金を支払う場合があります。これは入居時に一時金として支払うもので、毎月支払う修繕積立金とは異なります。金額はマンションの規模や築年数によって異なりますが、数十万円から百万円を超える場合もあります。

仲介手数料

不動産会社を通して物件を購入した場合、仲介手数料を支払う必要があります。仲介手数料は、宅地建物取引業法によって上限が定められており、売買価格が400万円を超える場合は「（売買価格×3%＋6万円）×消費税」が上限となります。

住宅ローンにかかる諸経費

住宅ローンを利用してマイホームを購入する際には、物件価格以外にも様々な費用が発生します。これらを「諸費用」と呼び、住宅ローンの利用には欠かせないものです。諸費用は大きく分けて、税金、手数料、保険料などに分類されます。これらの費用を事前に把握しておかないと、資金計画が狂ってしまう可能性もあるため、しっかりと理解しておきましょう。以下に、住宅ローンにかかる主な諸費用を詳しく解説します。

印紙税

印紙税は、契約書などの文書に課税される国税です。住宅ローン契約の際には、「金銭消費貸借契約書」に印紙を貼付し、消印することで納税します。印紙税額は契約金額によって異なり、例えば、契約金額が1,000万円超5,000万円以下の場合、印紙税額は2万円です。この印紙税は、契約書を作成する際に必ず発生する費用であり、住宅ローン諸費用の一部として考慮する必要があります。近年では電子契約も普及しており、電子契約の場合は印紙税が非課税となるため、コスト削減につながる場合があります。

登録免許税

登録免許税は、不動産の登記を行う際に課税される国税です。住宅ローンを利用して不動産を購入した場合、所有権移転登記や抵当権設定登記などを行う必要があり、その際に登録免許税が課税されます。税額は、不動産の評価額や登記の種類によって異なります。例えば、所有権移転登記の場合、固定資産税評価額の2%が税率となります。登録免許税は、不動産を取得する際には必ず発生する費用であり、住宅ローン諸費用の中でも比較的大きな割合を占めることがあります。

司法書士への報酬

司法書士は、登記手続きの代理や書類作成などを行う専門家です。住宅ローンの利用に伴う登記手続きは複雑なため、司法書士に依頼するのが一般的です。司法書士への報酬は、依頼する業務内容や地域によって異なりますが、数万円から十数万円程度が相場です。司法書士への報酬は、登記手続きをスムーズに進めるために必要な費用であり、住宅ローン諸費用の一部として考慮しておきましょう。

融資事務手数料

融資事務手数料は、住宅ローンを借りる金融機関に支払う手数料です。手数料の名称や金額は金融機関によって異なり、「融資手数料」「事務取扱手数料」などと呼ばれることもあります。定額制の場合や、融資金額に対する割合で算出される場合があります。例えば、融資金額の2.2%（税込）といった設定をしている金融機関もあります。この手数料は、住宅ローンを利用する際に必ず発生する費用であり、金融機関を選ぶ際の比較ポイントの一つとなります。

ローン保証料

ローン保証料は、保証会社に保証人となってもらうために支払う費用です。住宅ローンを利用する際には、保証会社の保証が必要となることが一般的で、その際に保証料が発生します。保証料の支払い方法は、一括前払い方式と分割後払い方式があり、それぞれメリット・デメリットがあります。保証料は、保証を利用するための費用であり、住宅ローン諸費用の中でも比較的大きな割合を占めることがあります。

物件調査手数料

物件調査手数料は、購入を検討している物件の状態を調査するためにかかる費用です。主に中古物件を購入する場合に必要となることが多く、建物の劣化状況や地盤の状態などを専門家が調査します。調査費用は、調査内容や物件の規模によって異なります。物件調査は、安心して物件を購入するために重要な手続きであり、中古物件購入を検討している場合は、この費用も考慮しておきましょう。

火災保険料（および地震保険料）

火災保険料は、火災による損害を補償するための保険料です。住宅ローンを利用する場合、火災保険への加入が必須となることが一般的です。また、地震による損害を補償する地震保険は、火災保険とセットで加入することが推奨されます。保険料は、建物の構造や所在地、保険金額などによって異なります。これらの保険料は、万が一の災害に備えるための重要な費用であり、住宅ローン諸費用の一部として考慮しておきましょう。

新築・中古、一戸建て・マンションで諸経費

住宅の種類（新築・中古、一戸建て・マンション）によって、諸費用の内訳や金額は異なります。一般的に、中古物件は新築物件に比べて仲介手数料や物件調査費用などがかかる傾向にあります。また、一戸建てはマンションに比べて登記費用などが高くなる場合があります。

住宅種別ごとの諸費用一覧

住宅種別	主な諸費用	備考
新築マンション	融資事務手数料、ローン保証料、登録免許税、印紙税、火災保険料	比較的諸費用が少ない傾向
新築一戸建て	融資事務手数料、ローン保証料、登録免許税、印紙税、火災保険料	土地の登記費用などがかかる場合がある
中古マンション	融資事務手数料、ローン保証料、登録免許税、印紙税、火災保険料、仲介手数料、物件調査手数料	仲介手数料が大きな割合を占める
中古一戸建て	融資事務手数料、ローン保証料、登録免許税、印紙税、火災保険料、仲介手数料、物件調査手数料	仲介手数料、物件調査手数料がかかる

諸経費の一般的な目安

諸費用の目安は、物件価格の5%〜10%程度と言われています。新築物件の場合は3%〜7%、中古物件の場合は6%〜10%程度となることが多いです。例えば、3,000万円の物件を購入する場合、150万円〜300万円程度の諸費用がかかることになります。ただし、これはあくまで目安であり、物件の種類や契約内容によって変動するため、事前にしっかりと確認することが重要です。

諸経費を踏まえた資金計画

住宅ローンを利用する際には、物件価格だけでなく、諸費用も含めた資金計画を立てることが非常に重要です。諸費用を考慮せずに資金計画を立ててしまうと、後々資金不足に陥る可能性があります。事前に諸費用の内訳と金額を把握し、自己資金と借入額のバランスを考慮した上で、無理のない返済計画を立てるようにしましょう。

よくある質問

新築の諸経費の内訳

新築物件の諸経費は、主に融資事務手数料、ローン保証料、登録免許税、印紙税、火災保険料などが含まれます。物件によっては、その他に水道負担金や管理準備金などがかかる場合もあります。

家を買う時の手数料は何%？

住宅購入にかかる手数料は、仲介手数料や融資事務手数料など、様々な種類の手数料があります。仲介手数料は、売買価格の3% + 6万円 + 消費税が上限とされています。融資事務手数料は、金融機関によって異なりますが、融資金額の数%程度であることが多いです。

これらの情報を参考に、住宅ローンの諸費用について理解を深め、スムーズなマイホーム購入を実現してください。