サービスルームとは？普通の部屋との違い、メリット・デメリット、活用方法を解説！

マンションの間取り図を見ていると、「S」と書かれた部屋を見かけることはありませんか？ これは「サービスルーム」と呼ばれる部屋のこと。

サービスルームとは、建築基準法で定められた居室の基準を満たしていない部屋のこと。具体的には、採光や換気などの条件が満たされていない場合が多いです。

今回は、そんなサービスルームについて、普通の部屋との違いやメリット・デメリット、活用方法まで詳しく解説していきます。

サービスルームの定義とは？「居室」との違いをわかりやすく解説

サービスルームは、なぜ「サービスルーム」と呼ばれるようになったのでしょうか？ その由来は、建築基準法の改正にあります。

かつて、マンションの容積率は居室部分の床面積のみで計算されていました。そこで、デベロッパーは容積率に算入されない小さな部屋を設けることで、限られたスペースを有効活用しようとしました。これがサービスルームの始まりです。

サービスルームには、明確な広さの上限はありません。ただし、一般的には、居室よりも狭く、収納スペースに近い広さであることが多いようです。間取り図では「S」と表記されます。

サービスルームの由来

住宅におけるサービスルームは、元々、家事やその他の補助的な活動を行うための空間 として考えられていました。例えば、家政婦の控え室、洗濯・アイロンがけなどの作業スペース、食料や日用品の貯蔵室、趣味の部屋など、住居の主要な居住空間（リビング、ダイニング、寝室など）を補完する役割を担っていたのです。

日本では、建築基準法で定められた居室の基準（採光や換気など）を満たさない部屋を「サービスルーム」と称することが多く、不動産業界で慣習的に用いられるようになりました。納戸やフリールームと呼ばれることもあります。

サービスルームに広さの上限はない

結論から言うと、サービスルームの広さに法的な上限はありません。

建築基準法では、「居室」の定義や必要な採光・換気などの基準は定められていますが、「サービスルーム」という用語やその定義は存在しません。そのため、サービスルームの広さは、設計者や不動産会社が自由に設定 できます。

実際、物件によってサービスルームの広さは様々です。1畳程度の狭い空間から、6畳以上の広い空間まで、用途や設計に応じて多様な広さのサービスルームが存在します。

ただし、あまりに広い空間を「サービスルーム」として販売すると、居室の基準を満たしていないにもかかわらず、実質的には居室として使用される可能性があるため、行政指導の対象となる可能性 はあります。しかし、あくまでも可能性の話であり、明確な上限が定められているわけではありません。

つまり、サービスルームの広さは、法律で制限されているわけではなく、物件ごとに異なる というのが現状です。購入を検討する際には、「サービスルーム」という名称にとらわれず、実際の広さや用途を確認することが重要 です。

サービスルームは間取り図で「S」と表記される

サービスルームは間取り図で「S」と表記されることが多いですが、実はこれは法律で決まっているわけではありません。

不動産公正取引協議会連合会が作成した「不動産の表示に関する公正競争規約」において、サービスルームは「S」と表記することが推奨されています。

この規約では、居室は「洋室」「和室」「LDK」のように表記すること、納戸は「N」と表記することが定められています。サービスルームは居室とはみなされないものの、納戸とも異なるため、「S」という独自の表記が用いられるようになったのです。

ただし、すべての不動産会社がこの規約に従っているわけではありません。中には、「サービスルーム」とそのまま表記したり、「フリースペース」「多目的室」などといった別の名称で表記したりする場合もあります。

サービスルームを「納戸」と同じ「N」で表記しているケースも

間取り図によっては、サービスルームを「納戸」と同じ「N」で表記しているケースも見られます。これは、サービスルームの定義が曖昧で、納戸との境界線がはっきりしていないことが原因と考えられます。

そのため、間取り図で「S」や「N」と書かれた部屋を見つけた場合は、それがサービスルームなのか納戸なのか、不動産会社に確認することをおすすめします。

ポイント

• サービスルームは間取り図で「S」と表記されることが多い。
• これは法律で決まっているわけではなく、不動産公正取引協議会連合会の規約で推奨されている。
• 不動産会社によっては、「サービスルーム」とそのまま表記したり、「フリースペース」「多目的室」などといった別の名称で表記したりする場合もある。
• 間取り図によっては、サービスルームを「納戸」と同じ「N」で表記しているケースもある。
• 間取り図で「S」や「N」と書かれた部屋を見つけた場合は、不動産会社に確認することをおすすめする。

～「居室」と「居室でないもの」の例～

居室	居室でないもの
リビング	サービスルーム
ダイニング	納戸
寝室	ウォークインクローゼット
子供部屋	パントリー

サービスルームと「納戸」「書斎」の違い

サービスルームは、納戸や書斎と混同されることがあります。しかし、それぞれ用途やイメージが異なります。

• 納戸: 収納を目的とした部屋。窓がなかったり、換気が悪かったりすることが多い。
• 書斎: 読書や仕事など、静かに過ごすための部屋。窓があり、採光や換気が確保されていることが多い。
• サービスルーム: 納戸と居室の中間的な存在。収納スペースとして利用されることが多いが、書斎や趣味部屋として利用されることもある。

用途のイメージの違い

部屋の種類	用途	イメージ
納戸	収納	暗く、閉鎖的な空間
書斎	読書、仕事	静かで落ち着いた空間
サービスルーム	収納、趣味、書斎など	多目的な空間

サービスルームは、使い方次第で様々な用途に活用できる部屋です。 次回は、サービスルームのメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。

サービスルームのメリット・デメリット

サービスルームは、居室とは異なる特徴を持つため、メリットとデメリットが存在します。

メリット

• 価格を抑えられる

サービスルームは、建築基準法上の居室とみなされないため、容積率に算入されません。そのため、デベロッパーはコストを抑えてマンションを建設することができ、その分、販売価格や賃料を安く設定できる場合があります。

• 日光の影響を受けない

サービスルームは、窓が小さかったり、設置されていなかったりすることがあります。そのため、日光の影響を受けにくく、家具や書籍の日焼けを防ぐことができます。また、外からの視線を遮断できるので、プライバシーを守りたい場合にも役立ちます。

デメリット

• 居室にはある設備がないケースがある

サービスルームは、居室と比べて設備が簡素化されている場合があります。例えば、エアコンやコンセント、照明器具などが設置されていないケースもあります。そのため、快適に過ごすためには、追加で設備を設置する必要があるかもしれません。

• 湿気がたまりやすい

サービスルームは、窓が小さかったり、設置されていなかったりするため、換気が悪くなりがちです。そのため、湿気がたまりやすく、カビやダニが発生しやすい環境といえます。こまめな換気や除湿対策が必要です。

サービスルームの活用方法｜目的別に最適な使い方を紹介

サービスルームは、その特徴を活かして様々な用途に活用できます。

１．家事室として使う

アイロンがけや洗濯物を畳んだり、ミシンを使ったりする家事室として活用できます。家事動線を意識した間取りにすると、家事効率がアップします。

２．子どもの遊び場にする

子どもが遊べるプレイルームとして活用するのもおすすめです。おもちゃや絵本を収納できるスペースを設ければ、リビングが散らかるのを防ぐことができます。

３．シアタールームや書斎など趣味部屋にする

映画鑑賞や読書、音楽鑑賞など、趣味を楽しむための部屋として活用できます。防音対策を施せば、周囲を気にせず趣味に没頭できます。

４．来客用の宿泊スペースにする

ゲストルームとして活用すれば、来客時にも慌てることなく対応できます。布団や寝具を収納できるスペースを確保しておくと便利です。

５．仕事用スペースとして使う

在宅ワークが増えている今、書斎やワークスペースとして活用するのも良いでしょう。集中しやすい環境を整えれば、仕事効率もアップします。

６．書庫やウォークインクローゼットとして活用する

収納スペースとして活用する場合は、書庫やウォークインクローゼットにするのがおすすめです。湿気対策をしっかり行い、大切なものを保管しましょう。

サービスルームは、アイデア次第で様々な使い方ができる多目的スペースです。 あなたのライフスタイルに合わせて、最適な活用方法を見つけてくださいね。

サービスルームを使う際の注意点

サービスルームを快適に利用するためには、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。

１．サービスルームを「部屋」として使う場合

• 採光と換気を確保する

サービスルームは、窓が小さかったり、設置されていなかったりすることが多いため、採光や換気が不足しがちです。そのため、照明を工夫したり、換気扇を設置したりするなどして、快適な環境を整えましょう。

• 必要な設備を揃える

サービスルームには、エアコンやコンセント、照明器具などが設置されていないケースがあります。そのため、部屋として利用する場合は、これらの設備を揃える必要があるでしょう。

• 防音対策を検討する

サービスルームは、壁が薄かったり、隣接する部屋との間に隙間があったりすることがあります。そのため、防音対策を施しておかないと、音が漏れやすくなってしまう可能性があります。

２．サービスルームを「収納」として使う場合

• 湿気対策を徹底する

サービスルームは、湿気がたまりやすい環境です。そのため、除湿剤や換気扇などを活用して、湿気対策を徹底しましょう。

• 収納するものを選ぶ

湿気やカビの影響を受けやすいものは、サービスルームに収納しないようにしましょう。衣類や書籍などは、定期的に風を通すなどして、状態を確認することが大切です。

• 整理整頓を心がける

サービスルームは、収納スペースとして利用されることが多いですが、整理整頓を心がけないと、すぐに物が散らかってしまいます。収納方法を工夫して、常に整理整頓された状態を保ちましょう。

よくある質問

サービスルームについて、よくある質問をまとめました。

サービスルームの広さは決まってるの？

サービスルームに明確な広さの上限はありません。ただし、一般的には、居室よりも狭く、収納スペースに近い広さであることが多いようです。

サービスルームにエアコンの取り付けは可能？

サービスルームにエアコンを設置できるかどうかは、物件によって異なります。エアコン用のコンセントや配管が設置されているか、事前に確認しておきましょう。

サービスルームを子ども部屋として使ってもいい？

サービスルームを子ども部屋として利用することは可能です。ただし、採光や換気が十分であるか、必要な設備が揃っているかなど、事前に確認しておく必要があります。

サービスルームを寝室として使う場合、体への悪影響はない？

サービスルームを寝室として使う場合、採光や換気が不足することで、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、窓を設置したり、換気扇を設置したりするなどして、対策を講じる必要があります。

まとめ

サービスルームは、居室とは異なる特徴を持つ部屋です。メリットとデメリット、注意点などを理解した上で、有効活用しましょう。